昔の僕の遠距離恋愛話

恋愛の話をするのは、けっこう勇気がいるものですね。と言いますのも、僕には堂々と人に話せるような恋愛体験というものが少ない。どちらかと言えば、女性から相手にされないような男でしたから。それでも一度か二度はそれらしい経験をしました。しかし、どれも失敗に終わっていますが。
二十歳前に、はかない恋愛をした事があります。若かったという事もあり、あのときは彼女以外は何も見えなかった。四六時中、頭の中にあるのは彼女の笑顔です。自分でも気でも違ってしまったのではないだろうかと心配になるほどでした。
この当時、僕はせっかく入った大学を中退し、アルバイトで生計を立てていました。実は大学は親に相談もなく止めてしまい、いつしかそれがバレて実家にいられなくなったのです。兄とももめて、家を飛び出したというわけです。もう、すべてにおいてメチャクチャでした。
そんなときに彼女の笑顔に出会い、僕は救われたような気がしたのです。それはアルバイトからアパートへ戻る途中のことです。中学のときの同級生にバッタリ出会ったのですね。急に懐かしくなり、彼女の顔をいつまでも見ていました。ずいぶん可愛くなっていたのにも驚きました。そのときはそれで別れたのですが、後日、彼女の方から電話があり、映画でも行きたいね、と誘ってきたのでした。もちろん、僕は「いいよ」と、即答しましたが。
それから何度か彼女と食事をしたり、買物に行ったりしました。そんなあるとき、僕は彼女と飲みに行き、その帰りに酔った勢いで彼女にキスをしたのです。長いキスでしたね。あれはちょうど梅雨の時期です。雨が降っていたのですが、僕たちは雨に濡れながらも長々とくっついていた。とても今では考えられない光景です。なんだか恥ずかしくなってしまう。
彼女とつき合ったのは、それから一年半ほどでした。彼女はちょっと遠い大学に通っていましたから、いつでも会えるという環境ではなかった。月に一度か二度、しかも短時間のデートだけが僕たちの楽しみでした。きっと彼女もいつでも好きなときに会えないことに嫌気がさしたのでしょう。彼女は僕から去って行ったのでした。

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